クラウド障害でデータロストは、ほとんど発生しない

「“RAID全滅”があり得るように、“クラウドなら絶対安全”もない」、クラウド時代の「データ置き場の考え方」とは?

惜しいです!が、根本的に間違っています。障害とデータロストは、似て非なる物。

障害というのはアクセスができなくなることで、データロストは、預けたデータがなくなること。

クラウドの障害は、一時的にデータを保管できなかったり、保管済みのデータに対して、一時的にアクセスできなかったりする現象。

一旦、データを保管したら(書込できたら)、クラウド側が原因でデータが無くなる事象は、ここ数年、発生した事例は訊いたことが無い。

この記事で言われているとおり、RAID組んでも、そのRAIDが置いてあるデータセンターが火事になってしまったりすれば、全データロストになります。クラウドの場合は、地理的に冗長する仕組みがあるので、火事のような障害については、データロストしないことが多いですね。大阪-東京くらい離れた冗長化だと数分ぶんのデータロストの可能性はあるケースもありますが。

いずれにせよ、オンプレミスにデータを保管しているよりも、クラウドに預けておいた方が何万倍も安全と言えますので、積極的に利用すべきと思います。

「ふくいナビ」のデータ消失事件は、「クラウド」の責任ではない

サーバ管理会社が契約更新ミス 「ふくいナビ」全データがクラウドから消失、復旧不能に
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2011/09/news064.html

このNECキャピタルソリューションのサービスをクラウドとは呼んではいけない。

というのも、NISTや経産省のクラウド定義の第1項目「オンデマンド・セルフサービス」を満たしてない。

NECキャピタルソリューション発表の

公益財団法人ふくい産業支援センター様の「ふくいナビ」のデータ障害につきまして

https://pdf.irpocket.com/C8793/aMKh/RtZQ/YIJo.pdf

によれば、データ消失の原因は

本クラウドサーバーは、使用期間更新の際に、本クラウドサーバーの使用権の更新をす
る手続きが必要でありましたが、当社の事務手続きにおいてこれを漏らしていたことが
本件の原因であります。

https://pdf.irpocket.com/C8793/aMKh/RtZQ/YIJo.pdf

とあるわけで、この事務手続きは、明示的に記載はされてないが、人的に操作していたと思われるから。

このような事象がクラウドとして報道されると、オンプレ大好きIT管理者や非ITな経営層からみると、短絡的に「クラウドは危険」ということになってしまう。

この事象からの学びは、クラウドが危険ということではなく、エセクラウドを危険ということ。

根本的に「人間はミスをするもの。だからこそ、ミスの起きない自動化」を考える事が大事。もちろん、この件において、ふくいナビ側に落ち度は無いが、管理体制が不十分と言える、サービスを選択してしまっている点は、ふくいナビ(に限らずだが)反省しておくべき点。

また、今回の事象で、クラウドだけでのデータ保管が危険だから、別途バックアップを取得しておく必要と考えるのも間違い。